Saturday 13 July 2019

【2019年7月8-12日(月-金)】 この手で 使命 果たしてゆくだけ [協力隊99-103日目]

※記事内に、捕獲した鳥獣の写真を掲載している。
小さく表示しているが、苦手な方はご注意いただきたい。

なお当ブログでは、有害鳥獣問題は全ての人に関係していることであり、
その現実を知って考えていただきたいという想いから、モザイク等は使用しません。





月曜の朝から、役場に電話が入る。
民家の敷地内、樹上にカラスが営巣しているので、何とかして欲しいと。
役場の仕事も、幅広くて大変だね。


担当係の方と一緒に訪問。親ガラス2羽が頭上をガアガア旋回するなか、
まだ巣立っていなかったヒナ1羽を捕獲。山のほうへ連れて行き、放してやる。
でも飛び方もエサの獲り方も知らないから、いずれ死んでしまうのだろう。
キツネ等に食われてしまうのかもしれない。
いっそ、ひと思いに殺してやるべきだったのか。どちらにしても、ごめんな。


夕方、一時間弱の市まで出張。
10月から稼働する食肉加工施設についての、説明会だ。僕はアシスタント。
コワモテな猟友会の方々が主なので、雰囲気ある。


火曜日は、ペンキ塗りのお手伝い。
所属する産業振興課の、農政係の方々と一緒に。

ちなみに僕は便宜上というか、地域振興係に属しているのだが、
有害鳥獣関係は農政係の所管。シカを捕獲して一人で運搬できない場合には、
ヘルプに来ていただいている。僕もこうして、何かやらせてもらわないとな。


三角屋根に上る。地味に怖い。滑らないように、細心の注意を払いながら。


どこかというと、かつて牧場だったところの小屋。
いまは主に、重機の倉庫として使用されているらしい。


まずはサビ止めを塗る。ハケを使って、べったりと。

「先生、速いっすねー」
とのお言葉をいただいた。
福井の協力隊時代、公園の遊具をペンキ塗りした経験が活きたかな。


お昼には、せっかくなのでバーベキューをしようということに。
ジンギスカンやホルモンを焼き、シカ肉も少し賞味してもらって好評。
さすがにビールは飲めないが、最高だね。これくらい楽しみながら仕事しないとな。


サビ止めが乾いたところで、午後からはペンキ塗り。
今度はローラーを使用するから、よりサクサク進む。


綺麗になってきた。


遠目に見たら、光り輝いているぞ。


もう一つ、隣接する小屋の屋根も塗る。
浦臼町、石狩川、川向かいの町と山々。高台から見渡せる景色が美しい。


一日かけて汗だくになって作業し、いったん終了。
しかし話していたのだが、汗をかいても不快感は無い。
湿度が低いからか、ベタつかないのだ。さすが北海道、素晴らしい環境である。
東京なんか、汗をかきだしたらもう気持ち悪くて、全てのやる気を失うからな。

ところで写真は、小屋の裏手にあった、ヘビの抜け殻。


水曜日。早朝捕獲に出ていると、1頭だけ出会った。
だがこれは、発砲できないやつ。水平方向で、向こう側には道路・民家があるのだ。
土壁や地面などで弾が止まるように、すなわちバックストップが確保できなければ、
銃を使用してはならない。今度は撃てる状況で会おうぜ。


前日に引き続き、日中はペンキ塗り。


遂に仕上がった。緋色というのか、良い見た目になったね。


最後は、ハシゴに付着してしまったのをシンナーで落としていく。
これが一番、大変だったかもしれない。


木曜日。早朝捕獲に出るも捕獲なし。
午後は役場の担当さんと、消耗品の買い出しに出かける。
浦臼に戻ってきて、建設中の食肉加工施設を見に行ってみる。

手前の方は、隣接の減量化施設
加工施設で出た残滓(ざんし。残りかす、この場合は内臓など)や、
食肉にできないシカを処理するのに使われる。
もう完成していた。いわゆるD型倉庫というそうで、建設が早いらしい。


日没前捕獲に出る。いまの時期は一番長いから、19時過ぎくらいまで。
4:00-9:30:早朝捕獲
9:30-16:00:自宅で中休み
16:00-19:00:日没前捕獲
という感じになるね。日によって変動してくるけど。

キツネを見かけることが非常に多いのだが、実はもう、僕は捕獲できない。
捕獲許可が一人あたり10頭までと、北海道で定められているのである。
そうとは知らず既に10頭、獲ってしまったのだ。

これから農作物が実るにつれ被害も出てくるだろうし、
カモを食べられてしまったという農家さんもいる。
個体数が増えすぎてからでは遅いから、いま捕獲しておくべきな気もする。
が、どうしようもない。良かれと思って11頭目を手にかけた時点で、
僕が鳥獣保護法違反で捕まるだけである。


エゾシカは、今週の初捕獲。
群れのうち、1頭目の首を貫通し、2頭目の背部に着弾したらしい。
1発で2頭を捕獲するのは初めてだ。狙ったわけではないが、こういうこともある。


埋設までしていると、後処理に30分とか1時間とかかかる。
日没前に捕獲したら、当然ながら暗くなってくるので、ヘッドライトを装着して作業。
あと小虫がわんわん寄ってくるから、ネットも被らないとツラい。


そのメス鹿から、肉をいただいた。
体から切り取る際、筋肉がまだビクンビクンと動くところに、生命を感じる。
マグロみたい。ものすごく柔らかかった。

ところで、初捕獲があった6月の頭から、肉は一切、買っていない。
捕獲したエゾシカたちから、ありがたく頂戴している。
世間的にみれば、贅沢なことなのかもしれない。まあ役得というところか。


金曜日。早朝捕獲は成果なし。中休みののち、日中の捕獲へ。

ちなみに普段、窓を開放して走っている。
野外の音を聞きやすくするためだったり、視野を広くするためだったりなのだが、
停まった瞬間にアブやら何やら近寄ってきて、車内にも入り込んでくる。やめてほしい。


曇りや小雨で涼しかったからか、日中でも遭遇し、捕獲。通算17頭となった。
メジャーリーグで活躍する二刀流日本人選手は、いま14号ホームランくらい。
密かに意識していたりする。ビッグフライ、サソーサン。

「オレたちの(獲る・食う)分も残しといてくれよ」(猟友会)
「(10月から食肉加工施設ができるのに)町からシカがいなくなっちゃう」(役場)
などと、半ば軽口ながら最近いわれる。人里からいなくなったら、
もっと山の方に入るなり、近隣の市町から獲ってくるなり、すれば良いんじゃないかな。
農業被害を無くすためにも、駆逐するくらいを目標にしても良いんじゃないかな。


埋設などのため草藪を分け入ると、必ずダニが飛びついてくる。
服を掃いはするものの、家まで持ち帰っていることもある。やめてほしい。
捕獲後は、シャワーと洗濯が欠かせない。いつもしてるけど。



オチがダニで良いのか。まあ良いんじゃないかな。


Monday 8 July 2019

【2019年7月1-6日(月-土)】 呼ぶ声が聞こえたら それが羽になる [協力隊92-97日目]

※記事内に、捕獲した鳥獣の写真を掲載している。
小さく表示しているが、苦手な方はご注意いただきたい。

なお当ブログでは、有害鳥獣問題は全ての人に関係していることであり、
その現実を知って考えていただきたいという想いから、モザイク等は使用しません。


農家さんから、畑の被害報告。豆畑が、シカにやられてしまったという。


実は食べないが、この時期、新芽の部分を齧られてしまう。

例年なら無事な稲も、今年は食われているという田んぼもある。
シカは、着実に進出してきているようだ。


日の出後・日没前の時間帯にも活動するようになり、
さらに天候が曇りや小雨だったため、日中でもシカは動いていた。
月曜に1頭、火曜に3頭を捕獲。だが水曜の朝、事件は起こった。


6時半に役場から電話が入ったので何事かと思ったら、クマが出たのだという。
現場には、警察・役場・猟友会の面々が集まってきた。


これまで、クマの出没はほぼ皆無だった浦臼町。
しかも山側ならともかく、石狩川側。民家も抜けて来ているというから大騒ぎだ。


林に潜んでいるらしく、各方向から静観。
すると、写真右方向から出てきた。畑を抜けて左の林へ移動するクマ。
中央のゴマ粒がそれだが、お分かりだろうか。


しばらくすると、反対側に現れるクマ。沼沿いの藪を伝って移動したらしい。
民家のすぐ近くだ。大勢の人で囲っているので、また木の中に戻っていった。

このような状況でも、猟友会は銃を使用することができない。なぜなら、


捕獲許可が必要だからだ。シカなどと違って、クマは普段、捕獲対象になっていない。
基本的には保護の方向ということだろうか。
この許可を北海道に発行してもらわなければ、クマを撃ったところで、
鳥獣保護法などに違反してしまうのである。

役場で申請書類をつくり、道の機関が動く8時半を待ち、
道知事の印鑑が突かれた許可証を、道まで取りに行く。
という対応を、役場の方でしてくれていたらしい。
午前中が終わる頃、ようやく猟友会員の手元に届いた。
超アナログというか、日本のお役所的システムというか、なんとも凄いね。


猟友会が何ヶ所かで待ち伏せをし、ロケット花火などでクマを追い込んでいく、
という作戦が実行される。初めの林まで戻ってくるも、そこから動かないクマ。
いくら大きな音を出そうが効果は無く、けっきょく日が暮れてしまった。

法律上、日没後は発砲できない。しばらく様子を見るも、出てこないクマ。
20時半ころになると、辺りは真っ暗になった。

まだクマがいる以上、動向を確認しなければならない。
急きょ、役場の方々が一晩中、周囲から監視するという態勢が敷かれた。


木曜も、早朝からクマ対応。
昨夜、職員さんの目の前に現れていたらしい。足跡もくっきりと残っていた。


田んぼを横切った跡が近くで確認できるも、他に痕跡は残っていない。
闇に紛れて、どこへ行ったのか不明。
山へ帰ったのか、川の方へ行ったのか、元の林へ戻ったのか。

昨日と同じように林の追い込みをかけてみたが、いなかった。
新たな目撃情報も無く、捜索・捕獲ミッションは解除されることとなった。


とある民家の庭先や畑には、足跡やフンが残されていた。怖いね。

警戒のため木・金は、役場の方々が交代で町内をパトロールすることに。
子どもたちの登下校も集団で、先生方が一緒に付いていたようだ。


周辺の市町では、頻繁に出没しているところもある。

もう来ないで欲しいところだが、これから先、出没が増えてくる可能性も否定できない。
僕もいつか、クマを撃つ日が来るのだろうか。


「呼びました?」
呼んでない。二日間にわたる、クマった騒動であった。


金曜日にはシカ捕獲を再開。早朝から回ったおかげで、3頭を捕獲。
今週は実質3日間で、7頭の捕獲となった。悪くない数字だが、まあ今だけかな。
今後、警戒されるようになったり数が減ってきたりすれば当然、ペースは落ちる。

写真は、捕獲後に埋設処理したところ。数十kgのシカを引きずって森などへ運び、
土や葉などを被せる。汗だくになるし、自分も虫に喰われるし、
捕獲した後の作業の方が、なかなか大変だ。


金曜の夜、音楽部屋に呼んでいただいた。
土曜に行われる催しで、一曲歌わせてもらうことになっていたので、練習に。
役場の係長・協力隊・学校の先生、というメンバーでアコースティックバンドが組まれ、
ミニライブも行うのだという。

さて、カホンという楽器をご存知だろうか。箱形の、イスみたいな打楽器である。
写真で僕が座っているが、分かりづらいね。
叩く位置によって、バスドラム(低音)・スネアドラム(アクセントとなる音)・
ハイハット(リズムを刻む音)あたりに対応した音を奏でられる。

初めて触るが、皆さんの演奏に合わせて叩いてみた。
いちおうドラムを齧っているとはいえ、ノリで何となく付いていけるかなという程度だが、
「いけそうだね?」
まじっすか。


浦臼町は主に、浦臼・晩生内(おそきない)・鶴沼、という三つのエリアに分類される。
土曜日は晩生内の、


お祭りの日。毎年開催されているそうだ。こうした地域の集まりは、大事だよね。


音響の準備を整え、


住民がたくさん集まってきた。
お年寄り・ワークセンター(障害を持つ方々の就労施設)・小さいお子さん連れの家族、
がほとんどを占める。

午前中に、ライブの第一部。メンバー4人が、一人一曲ずつ歌っていく。
僕は「あの鐘を鳴らすのはあなた」を熱唱し、引き続きカホン担当として演奏。
カホン二日目にして、31歳にして、初のバンドデビューとなるのであった。


裏では、蕎麦を一所懸命、調理してくれている。


打ちたてのそば、旨かった。


第二部までは時間があるので、なぜかキャッチボールなどして過ごす。
気温も高く、汗だくになる。


七夕ということもあり、短冊には想い思いの願いが綴られていた。


いま募金をすると、臼子ねぇさんのピンバッジがもらえるとのこと。するしかない。
来年に廃線となるJR札沼(さっしょう)線に乗って、羽根を持っている。


さて、ライブ第二部。昨年、柑橘の歌が流行したアーティストの曲を4曲。
アップテンポやバラードが織り交ざり、ノッてくる会場。
アンコールもいただいて、想像していた以上に盛り上がったんじゃないかな。

ノリでやらせてもらってしまったが、非常に楽しかった。
これで担当できる楽器が、ドラム・篠笛・カホンと、三つになったな。
いやいや、いずれも今後、まだまだ練習が必要だ。


そしてお祭りは、みんなで風船を飛ばして大団円。


メンバーで、打ち上げのBBQ。ビールが沁みる。
また、こうした機会があると良いね。