Saturday 29 June 2019

【2019年6月24-29日(月-土)】 物憂げな 6月の雨に 打たれて [協力隊85-90日目]

※記事内に、捕獲した鳥獣の写真を掲載している。
小さく表示しているが、苦手な方はご注意いただきたい。

なお当ブログでは、有害鳥獣問題は全ての人に関係していることであり、
その現実を知って考えていただきたいという想いから、モザイク等は使用しません。


役場の所属課の方に同行し、近隣の市町へ出張。
10月から稼働予定である食肉加工処理施設の、説明会を催すのだ。


目標受け入れ頭数は、年間800頭。浦臼だけでは到底無理な数なので、
周辺一帯、空知(そらち)地方としてエゾシカを集める必要がある。
だから事業の名前は「ジビエdeそらち」となっている。

捕獲後2時間以内に持ち込まないと食肉にできない、など条件もあり、
難色も示される。ただ移動処理車も導入されるので、
運搬の問題さえクリアできれば、おおむね協力していただけそうな感じだ。

この週は3つの市町を回り、今後も数回、説明会に赴く予定。


たまに外へ出たときくらい、お店でランチ。
浦臼まわりだと焼き鳥文化があるらしく、店舗も多いし、
路上脇の小屋で販売しているところもちょくちょく見かける。
もちろん旨いのだが、ビールが欲しくなってしまうね。


さて、農家さんからのシカ被害や、目撃報告が増えてきた。
田んぼや畑に出てきては、草系の作物を食ってしまうのである。
協力隊としての存在も、少しずつ周知してもらっているようだ。


先週から解禁された早朝捕獲を、今週の後半にも実施。
いまの時期は日の出が一番早いから、3時に起きて4時前から出動している。


とはいえ、なかなかシカに出会わねえなあ、の図。
町じゅう回ってはいるが、シカと気が合わなければ遭遇できない。
せっかく見かけても遠方を逃走中だったり、発砲できる環境じゃなかったり。
空振りする日もあるけど、こればかりは仕方ないね。

ちなみに早朝捕獲する際の勤務時間は、
5時-9時半…活動
9時半-14時…中休み。自宅で昼寝したり昼ごはん食べたり
14時-17時…ふたたび捕獲活動、のち役場で事務作業
のような感じになる。一例だが。今後、17時-19時の日没前にも出てみたいところ。


ある日、野菜の差し入れをいただいた。色々な種類を、ありがたい。



ある日、役場の方々と一緒にお出かけ。有害鳥獣処理施設を視察に訪れる。


全国的に有害鳥獣が増え、捕獲が推進されているわけだが、
今度はその処理に困るという問題もある。埋設なんかも手間がかかるし。
そこで、こうした処理施設をつくる自治体も増えてきている。
浦臼も、食肉処理施設と並行して建設が進められているところだ。


特殊な菌を用いて撹拌することで、三日ほどもすれば骨だけになってしまうそう。
浦臼の場合は、食肉にする過程で生じる内蔵等の不要部分が、
あと食肉にできないような個体が、こうして処理される。


 
ちなみにその日のお昼は、ラーメン。
関東でも目にしたお店だが、北海道発祥だったのだね。


そんな出張もありつつ、もちろん捕獲活動もしている。
アライグマは、毎日のようにわなに掛かっていた。


キツネは、幼獣をまとめて二頭獲ったり。


シカは今週ナシかな、と思ったら最終日の夕方、捕獲があった。
大きいメスで、役場の方々にもヘルプに来ていただく。
妊娠していたのだろう、重かった。

銃捕獲を開始した5月末から6月までの捕獲実績は、
エゾシカ7・アライグマ7・キツネ10・カラス6・ハト2。まずは及第点じゃないかな。
しかし鳥類はすぐ逃げるので、非常に難しい。課題だ。

一日一頭or一羽、何かしらの鳥獣を捕獲するのが目標。シカは、一週間に一頭かね。


土曜日。コーラスの発表をする時が来た。
入会させてもらってから僅か二ヶ月。僭越ではあるが、参加させていただく。

毎年開催されているという合同演奏会は、節目の第40回。
7市町から10団体、200名ほどが集った。


トランペットのネクタイピンを貸していただいた。素敵。


服装は準フォーマルに、こんな感じで。アウトレイジじゃないよ。


本番前に声出しをして、


軽くリハーサルをして、本番。各団体15分なので、3,4曲ずつ歌っていく。
全体合唱・女声合唱・男声合唱も挟みつつ。そして我々は、

一曲目「ありがたきこと」
浦臼の情景が詰まった、オリジナルソング
二曲目「虹と雪のバラード」
札幌オリンピックのテーマソングで、いまでも北海道で歌い継がれている。
今回は混声ではないため、もう一人の男性の方が指揮、僕はいったん舞台袖にハケる
三曲目「鞠と殿さま」
跳ねるようなテンポが楽しい曲
四曲目「Londonderry Air」
アイルランド民謡。アカペラで、1番を英語詞・2番を日本語詞で歌う

といった感じ。最初は皆さん声が出ないなど心配もあったが、
曲が進むうち徐々に調子が上がっていった。
特にラストのアカペラは好評であったらしい。

僕個人は、可も無く不可も無くといったところだろう。
新入りにしては及第点のはずだと自己評価しておく。
でも楽しく歌うことはできたので、それが何よりかな。


終了後は、イタリアンで打ち上げ。いちおう、僕の歓迎会も兼ねていただいた。

夏から秋にかけて、まだ何度か人前で歌う機会がある。
まだまだ声は出ないし音程も外しているから、今後も練習が必要。
カラオケと勝手が違ってコーラスは難しいけど、
でもだからこそ、やりがいがあるというものだ。


Sunday 23 June 2019

【2019年6月20-23日(木-日)】 行くぜ試される大地 北海道 [協力隊81-84日目]

※記事内に、捕獲した鳥獣の写真を掲載している。
小さく表示しているが、苦手な方はご注意いただきたい。

なお当ブログでは、有害鳥獣問題は全ての人に関係していることであり、
その現実を知って考えていただきたいという想いから、モザイク等は使用しません



木曜日から、早朝捕獲ができるようになった。
シカの場合、日中よりも朝早い時間帯の方が、遭遇率は上がるのである。
涼しくて過ごしやすいし、人間が動いていないから、といったところが理由だろう。

もともと8時30分-17時の勤務なので、そこを変えていただいた。
5時-19時の中で7時間30分とし、日の出後や日没前にも対応できるように。
やはりお役所なので、多少の手間はあったらしい。
しかし担当さんをはじめ、柔軟に考えてくださる方が多いので、ありがたい。


で、いきなり出会った。オスで、ツノがちょこんと生えかかっている。


さらに30分後、もう1頭。こちらもオス。
麦畑を踏み荒らし、その中で寝そべっていた。

早朝捕獲が、さっそく功を奏した形となった。
毎日となると、さすがにしんどいだろうし他業務にも影響してくるので、
適度に織り交ぜながら、やっていきたいね。


シカの背ロースを、カツにしてみた。つもりだが、見た目が残念すぎる。
とはいえ味は絶品。肉も非常に柔らかく、箸で切れてしまう。
口に咥えて引っ張るだけでも、簡単にほぐれる。


アライグマのわな。町内あちこち模索しながら、設置を続けている。

ご覧の通り、いたってシンプルで原始的。
キャラメルコーンを、順番に置いていくのである。
細かいのはラビットフードだ。こちらはシカにも応用できる。
キャットフードでもドッグフードでも良いみたいだけど。


そして木曜と金曜に一頭ずつ、捕獲があった。
ようやく、掛かりやすい場所を見付けたのかも。


箱わなで捕獲された小動物には、一般的にガス殺が用いられている。
これは毒ガスではなく、二酸化炭素を容器内に充満させ
酸素の供給を無くして死に至らしめるのだ。

10~15分して蓋を開ければ、絶命している。
安楽死なのか、実際は苦しいのか、真相は分からない。
いちど隣で様子を窺ってみたところ、数秒おきに喘ぐというか、
大きく息を吸い込むことを繰り返しているようだった。やっぱり苦しいんじゃないかな。

有害鳥獣と呼んではいるが、ひとつの命。
畏敬を感じられないのであれば、それはただの殺戮である。
今日も一つ、ごめんな、と呟いて灯火を消す。


さて土曜日には、コーラスが特別開催。合同演奏会まで一週間となったので、
先生をお呼びし、ボイストレーニングが行われるのだ。
実際ボイトレらしい練習は少しだけだったが、みっちりとハモり具合をご指導いただく。


終了後には、おやつタイムが設けられた。
北海道の銘菓も色々と用意してくださり、おいしくいただいた。


今度は、から揚げにしてみた。つもりだが、見た目が以下略。
いや、さいきん揚げ物に挑戦するようになったのだ。発展途上。


日曜日。車で一時間ちょっと走り、札幌市にある北海道博物館へ。
北海道の概要を学びに来たというわけだ。


歴史・アイヌ・北海道らしさ・現代・生物、と各分野ごとに展示がされている。


いちばん興味を魅かれたのは、やはりアイヌ文化(※館内は撮影OK)。
特に、カムイ(神)という概念。

動植物・道具・自然現象など、あらゆる事物には神が宿っていて、
祀り感謝し畏怖し、その恩恵や災厄と関わっていく。
この考え方は、すごく良いなと思うのだ。
世界で主流の一神教ではなく、神道にも近いけどまた違う。
他のどの宗教観よりも、僕には、しっくりくるかもしれない。

狩猟をする人間は特に、命を奪うとき、身近に感じるしな。
カムイについては今後、もっと勉強して知っていきたいね。